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公園を歩いていると、横の木から「コンコンコン…」という音。
スズメくらいの小さな鳥が、らせんを描くように幹を登っていました。
「これはコゲラ、キツツキなんです」
こんにちは、イソヒヨノートのハルです。
今回は、関西で出会えるキツツキの仲間について。コゲラ、アオゲラ、オオアカゲラ、そしてまだ会えていないアカゲラ。4種のちがいと、知ると木を見上げたくなる雑学をご紹介します。
✨ じつは「キツツキ」という鳥はいない
最初に、ちょっと意外な話から。
「キツツキ」という名前の鳥は、いません。
キツツキとは、キツツキ目キツツキ科の総称です。日本で見られるのは、コゲラ、アオゲラ、ヤマゲラ、クマゲラ、アカゲラ、オオアカゲラなどです。
では、なぜ「〜ゲラ」なのでしょう。
諸説ありますが、この「ゲラ」はもともと「寺」を指していたという説があります。
キツツキには、寺のような木造建築をつつく習性があるのだそうです。
そのため、かつては「寺つつき」と呼ばれていました。それが時代とともに「テラ」から「ケラ」、そして「ゲラ」へと音を変えていったといわれています。
❓ 4種、大きさで並べると見えてくる
この4種は、体の大きさがはっきり違います。
いちばん小さいのがコゲラ。全長15センチ、スズメと同じくらいです。「ギィー」と鳴く日本最小のキツツキで、オスは頭の横に赤い羽が隠れています。ただし、風でめくれたときにしか見えません。見えたら、かなりの幸運です。
写真は、2023年3月二上山ふるさと公園で撮った、コゲラです。縦じまのシャツに黒白ボーダーのマントをはおっています。

次がアカゲラで24センチ、ムクドリくらい。
オオアカゲラはそれより一回り大きい28センチ。
写真は、2025年12月に葛城山で撮った、オオアカゲラです。縦じまのシャツにサンゴ色の腹巻をしています。マントは黒白ボーダーです。
この日の1枚は、キヤノンのPowerShot SX70 HSで撮りました。
▶ 生産終了しても、まだ使っています|野鳥を撮るカメラの選び方とPowerShot SX70 HS

いちばん大きいのがアオゲラで、29センチ。アオゲラは日本にしかいない固有種です。
写真は、2025年1月に奈良市鹿川で撮った、アオゲラです。黄緑色のマントにボーダーの腹巻をしています。

見分けるポイントを、一覧にまとめました。
| コゲラ | アカゲラ | オオアカゲラ | アオゲラ | |
| 大きさ | 15センチ | 24センチ | 28センチ | 29センチ |
| たとえると | スズメ大 | ムクドリ大 | キジバト大 | キジバト大 |
| マント(背) | 黒白ボーダーのマント | 黒白ボーダーのマントに逆ハの字の白い線 | 黒白ボーダーのマント | 黄緑色のマント |
| シャツと腹巻(胸と腹) | 脇が茶色い縦じまのシャツ | 赤い腹巻 | 黒い縦じまのシャツとサンゴ色の腹巻 | 灰褐色のシャツと黒白ボーダーの腹巻 |
| オス・頭部の赤 | 後頭の横の羽(ふだん見えない) | 後頭部 | 頭部全体 | 額〜後頭部と顎線 |
| メス・頭部の赤 | なし | なし(後頭は黒) | なし(頭部は黒) | 一部だけ |
| 寿命 | 3〜5年 | 5〜10年 | 5〜10年 | 7〜10年 |
| 4年間の記録 | 153回 | 0回 | 3回 | 6回 |
この鳥のほかにも──
関西で出会える野鳥を、色や大きさから探せる索引ページを作りました。
▶ 野鳥図鑑インデックス|関西で出会える野鳥を色から探す
☘ 足の指は前2本・後ろ2本
キツツキを見つけたら、ぜひ足元も見てください。
多くの鳥は、足の指が前3本・後ろ1本です。
ところがキツツキは、前2本・後ろ2本。広い範囲に開く指で、樹皮をがっしりつかみます。
また、キツツキの尾羽は軸が硬く、頑丈です。これを幹に押しつけて体を支えます。両足と尾羽の三点支持なんですね、上のアオゲラの写真を参照してください。だから垂直な幹でも、平気で登っていけるんです。
♪ ドラミングは、キツツキの「さえずり」
コンコンコン、と木を叩く音。あれをドラミングといいます。
木を叩くのは、巣穴を掘ったり餌をとったりするためだけではありません。
キツツキは、ほかの小鳥のようにさえずりません。その代わりに木を叩いて、なわばり宣言やプロポーズをしているのです。
音の質も種類でちがいます。小さなコゲラは軽く乾いた音。体の大きな種ほど低く重い音になり、遠くまで響きます。
ここで気になるのが、「なぜ脳震盪(のうしんとう)を起こさないのか」。
以前は、衝撃を吸収できる頭の構造を持っているのだと考えられていました。
ところが2022年、ベルギーの研究でこの説はくつがえります。高速度カメラで解析したところ、キツツキの頭は衝撃を吸収するどころか、硬いハンマーのように働いていたのです。
では、なぜ無事なのか。
脳が小さく、頭骨にコンパクトに収まっているから、そもそも危険な衝撃にならないのだそうです。
キツツキの頭が硬いハンマーのようだったとは、驚きました。
⛰ キツツキがいる森は、豊かな森
キツツキが掘った巣穴は、一度きりの使用では終わりません。
自分では穴を掘れないシジュウカラなどの小鳥、リスやモモンガといった小動物が、あとから住みつきます。
森のなかの「大家さん」のような存在なんですね。
さらに、樹木を弱らせる虫を食べる役割もあります。キツツキがいるだけで、その森の生きものの豊かさは大きく変わります。
コゲラは、もともとは山にいる鳥でした。
それが1970年代から都市の公園で増えはじめ、いまでは街路樹や庭木にも巣穴を作ります。
近ごろは、都市の緑地を評価する指標種として扱われることも増えているそうです。「コゲラがいる公園は、いい公園」というわけです。
✏ 石川啄木の「啄木」は、キツツキのこと
歌人の石川啄木。本名を一(はじめ)といいます。
10代の終わりごろ、体をこわして岩手の実家で療養していた時期がありました。
その部屋で聞こえてきたのが、キツツキが木をたたく音だったそうです。
その音に励まされ、ふたたび歌を作る気持ちを取り戻した。だから雅号を「啄木」にした、と伝えられています。
啄木鳥と書いて、キツツキ。
木をたたく音が、ひとりの歌人を立ち直らせたわけです。
⭐ まだ会えていない、アカゲラのこと
次に、アカゲラです。
図鑑では定番のキツツキなのに、私たちは4年間で一度も出会えていません。
理由はどうやら、住んでいる場所にありそうです。
アカゲラは北海道から本州にかけての留鳥ですが、西日本では数が少ないようです。
古い大きな木の残る自然林。そういう森でないと、暮らしていけないそうです。
背中の逆ハの字の白い斑。腹巻の赤。オスは頭の後ろが赤(メスは後頭部が黒)。
いつかその姿を、この目で見てみたい。
会いたい鳥がいるというのは、それだけで山へ行く理由になります。
⌛ もう会えない鳥、キタタキ
もう一種だけ、書いておきたい鳥がいます。
キタタキです。
今年、大阪の鳥展で名前を知りました。
かつて長崎県の対馬にいた、大型のキツツキです。体長は42〜48センチ。クマゲラと同じくらいの大きさで、黒い体に白いお腹がよく目立つ鳥だったといいます。
ところが明治の終わりごろから森林の伐採が進み、標本を目的とした乱獲も重なりました。
1920年、対馬で2羽が採集されたのを最後に、日本でキタタキを見た人はいません。
1923年に天然記念物に指定されたものの、50年たっても確認されず、1972年に指定は解除されました。
巨大な枯れ木に巣を作る鳥でした。枯れ木は穴が掘りやすく、エサも見つけやすいのです。古い木の残る森がなくなれば、キツツキは生きていけません。
最後は、身近な話に戻ります。
私たちがコゲラに会うのは、ほとんどが馬見丘陵公園です。4年間で85回。次が大阪城公園と奈良公園で、それぞれ12回でした。
どれも、特別な山奥ではありません。
歩いていける公園に、キツツキがいる。
それは考えてみると、うれしいことです。
写真は、2024年5月馬見丘陵公園で撮った、コゲラです。頭の横にチラッと赤い羽が見えました。

※記事の構成や表現の整理にAIを活用していますが、観察記録と写真はすべて自分たちで撮影・記録したものです。
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