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橿原神宮の池のほとりに、見慣れない鳥が立っていました。
全体は茶色。羽には、白い斑点がちりばめられています。まあまあ大きくて変わった外見をしています。
「この鳥、なんだろう」
家に帰って図鑑をめくりました。でも、どのページにも載っていません。
こんにちは、イソヒヨノートのハルです。
今回は、その鳥の正体ゴイサギと、幼鳥のホシゴイについてご紹介します。名前の由来をたどっていくと、なんと『平家物語』にまでたどり着きました。
✨ 図鑑をめくっても、見つからなかった鳥
初めてその鳥に出会ったのは、2022年の7月でした。奈良・橿原神宮の池です。
池のほとりに立って、少し猫背で首をすくめて、じっと水面を見つめていました。
初めて見る鳥かもと思い、無心で双眼鏡をのぞきました。茶色い体に、白い点々。目は、黄色。
サギの仲間だろうとは思いました。でも、アオサギでもダイサギでもコサギでもない。
図鑑をめくっても、めくっても、それらしいページが出てきません。
答えがわかったのは、しばらく経ってからでした。
この鳥は「ホシゴイ」。ゴイサギの幼鳥だったのです。
成鳥のページは見ていたはずでした。でも、あまりに姿が違うので、まさか同じ鳥だとは思わなかったんですね。
☘ 「星五位」──羽にちりばめられた、白い星
ホシゴイの姿を、あらためて見てみましょう。

全体は、落ち着いた茶褐色です。
そして背中や翼に、白い斑点がぽつぽつと散っています。
この斑点を、夜空の星に見立てたのが名前の由来です。
「星五位(ホシゴイ)」。なんとも美しい名前をもらったものです。
体をぐっと縮めて立っている姿は、どこかずんぐりしていて、愛嬌があります。
双眼鏡でのぞいてみると、一枚一枚の羽に、星にたとえられた白い斑点が入っているのです。
この星模様は、ずっと続くわけではありません。
大人になるにつれて少しずつ消えていき、2~3年で、あの落ち着いた大人の姿に変わっていきます。
ゴイサギの寿命は、野生で12~15年ほどといわれています。
その長い一生のうち、星をまとっているのは、はじめの1~2年だけ。
つまりホシゴイに会えるのは、限られた時期だけなんです。そう思うと、あの白い斑点がいっそう特別に見えてきます。
✿ 大人のゴイサギは、まるでペンギンのよう
では、大人のゴイサギはどんな姿でしょうか。

頭のてっぺんから背中にかけては、深い紺色。
おなかから胸にかけては、まっ白。
まるでペンギンのような配色です。
そして目は、はっとするような赤色をしています。
よく見ると、後頭部から白い細長い羽が二本、すーっと伸びています。冠羽(かんう)と呼ばれる飾り羽です。
全長は58センチほど。アオサギよりひとまわり小さく、首を縮めているぶん、ずんぐりして見えます。
ちなみにオスとメスは、同じ姿をしています。見た目で区別することはできません。
茶色に白い斑点と黄色い目のホシゴイと、紺と白に赤い目のゴイサギ。
並べてみても、同じ種類の鳥だとは、なかなか思えません。
この鳥のほかにも──
関西で出会える野鳥を、色や大きさから探せる索引ページを作りました。
▶ 野鳥図鑑インデックス|関西で出会える野鳥を色から探す
❀ 夜に「グワッ」と鳴く、夜烏(よがらす)
サギの仲間は、昼間に活動するものが多いのですが、ゴイサギは違います。
おもに夕方から夜にかけて動く、夜行性の鳥なのです。
昼間は林の中でじっと休んでいて、あまり動きません。
繁殖の季節になると、平地から丘陵地の林に仲間が集まって、コロニーと呼ばれる集団の巣をつくります。
暗くなってから、水辺へ出かけていき、魚、ザリガニ、カエルなどを探します。
ほかのサギたちが休んでいる時間に、そっと水辺へ出る。
そうすればエサの取り合いになりません。かしこい暮らし方だなと思います。
そして夜、暗がりを飛びながら「グワッ」と鳴くのです。
その声から、昔の人はこの鳥を「夜烏(よがらす)」と呼びました。
夜の闇に響く一声を想像すると、たしかにカラスのようにも聞こえたのかもしれませんね。
ですので、昼間の池でゴイサギに会えたら、それはちょっとした幸運です。
じっとしていてあまり動かないので、ゆっくり観察できるのも、うれしいところです。
★ 『平家物語』に出てくる、位をもらった鳥
ところで「五位」とは、いったい何のことでしょう。
これには、こんな言い伝えがあります。
『平家物語』によると、醍醐天皇が神泉苑(しんせんえん)にお出ましになったとき、一羽のサギが捕らえられました。
ふつうなら、逃げようと暴れるところです。
ところがそのサギは、帝の言いつけにおとなしく従ったのです。
その様子に感心した帝は、ほうびとして「五位」の位を授けました。
五位というのは、宮中に昇ることを許される位です。鳥がもらうようなものではありません。
それで「五位鷺(ゴイサギ)」。
水辺でぼんやり立っているだけに見えて、じつは宮中に名前の由来をもつ、由緒ある鳥だったのです。
そう思って見ると、あのずんぐりした立ち姿も、どこか高貴にみえてきます。
❤ 会いたいなら、七月と八月がねらい目です
ゴイサギは、関西では一年を通して見られる留鳥です。
ただし東北地方より北では夏鳥で、寒くなると南へ移動していきます。
四年間の観察記録を、あらためて数えてみました。
ゴイサギに出会えたのは、九回。
そのうち六回が、七月と八月に集中していました。
しかもこの時期は、成鳥と幼鳥がいっしょにいることが多いのです。
大人のゴイサギと、星をまとったホシゴイ。両方をいちどに見られる、いい季節なんですね。
出会えた場所も書いておきます。
奈良では、馬見丘陵公園の下池、そして奈良市の垂仁天皇陵。大阪では、大阪城公園と、堺市の北池。兵庫では、神戸市垂水区のなぎさの池でした。
どこも、特別な山奥ではありません。街のなかの、ふつうの公園の池です。
おもしろいのは、同じ場所でくり返し会えることです。
垂仁天皇陵では、三年のあいだに三回。
ここでは、忘れられないことがありました。
外堀の向こう、古墳の岸辺にホシゴイを見つけて、夢中で写真を撮った日のことです。
家に帰って、パソコンで大きくして眺めていると──ホシゴイのうしろ、茂みの中に、もう一羽いたのです。
大人のゴイサギでした。
その場ではまったく気づいていませんでした。
昼間は林の中でじっとしている。図鑑で読んだとおりのことが、自分の撮った一枚に写っていたんです。
馬見丘陵公園では、2025年と2026年、二年続けて同じ池のほとりで見つけました。
「昨年もここにいたな」
そう思いながら双眼鏡を向けて、本当にいたときはうれしいものです。

ほかの鳥も、探してみませんか。
※記事の構成や表現の整理にAIを活用していますが、観察記録と写真はすべて自分たちで撮影・記録したものです。
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