カワウの雑学|翼を広げる理由とエメラルドの目、シンボルになった鵜

川の中洲で翼を広げて羽干しをするカワウの群れ 雑学・野鳥図鑑

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川の中洲に、真っ黒な鳥が何羽も立っていました。

そのうちの一羽が、翼をいっぱいに広げたまま、ずっと動きません。

しばらく見ていても、まだそのままです。

こんにちは、イソヒヨノートのハルです。

今回は、身近な川や池にいる大きな黒い鳥、カワウの雑学をご紹介します。

黒くて地味に見えて、じつは面白い鳥なんです。

✨ 翼を広げているのは、羽が濡れてしまうから

あの翼を広げたポーズは、「羽干し」と呼ばれます。

文字どおり、濡れた羽を乾かしているんです。

カモやカイツブリなど、多くの水鳥は尾のつけ根にある尾脂腺から脂を出し、羽に塗り込みます。

だから水に浮かんでいても、羽の中まで濡れることはありません。

ところがカワウの羽は、そもそも水がしみこむようにできています。

一見、水鳥として致命的な弱点に思えます。

でもこれは、弱点ではなく「選択」なんです。

羽が水を含めば体は重くなり、浮きにくくなります。

つまり、深く潜りやすい。そのぶん、魚を追いかけやすいのです。

飛ぶための軽さを手放して、潜るための重さを選んだ鳥。

それがカワウです。

ちなみに、羽が濡れる理由は「尾脂腺があまり発達していないから」と紹介されることが多いようです。

ただ、どうやらそれだけではないようなのです。

2005年に発表された研究で、カワウの羽そのものが変わったつくりをしていることがわかりました。

一枚の羽根のなかで、役割が分かれていたのです。

羽軸に近い内側は、細かい枝がきれいに平行にそろっていて、しっかり水をはじきます。

外側は枝がゆるくばらばらに並んでいて、スポンジのように水を吸います。

羽根の外側だけが、水を吸いやすい。いっしょに調べたほかの水鳥には、ほとんど見られない構造でした。

一枚の羽根のなかに、濡れるところと濡れないところがあるんですね。

なかなか手のこんだ鳥なんです。

☘ カワウのプロフィール

まずは基本のデータをまとめておきます。

  • 名前:カワウ(河鵜)/ウ科
  • 全長:約82cm(カラスよりずっと大きい)
  • 翼開長:約130〜160cm/体重:2kg前後
  • 分布:本州・四国・九州では一年じゅう見られる留鳥。北日本では夏に、南西諸島では冬に多い。
  • 食べもの:魚だけ。1羽で1日500gほど食べる
  • 得意技:ふだんは水深7mほど、深いときは14mを超えて潜ることも
  • 巣:木の上に枝を組む。たくさんの巣が集まる「コロニー」をつくる

食べものが「魚だけ」というのが、この鳥をよく表しています。

雑食で器用なカラスやムクドリとちがって、ひたすら水に潜って、魚を追って、捕まえる。

♪ よく見ると、目がエメラルドグリーン

遠くから見ると、カワウはただの黒い鳥です。

でも近くで、光のある場所で見てみてください。

虹彩――目の色のついた部分が、澄んだエメラルドグリーンなんです。

黒い顔のなかで、そこだけ宝石のように光ります。

体も、じつは真っ黒ではありません。

背中や翼は褐色みを帯びていて、角度によっては全体に緑や紫の光沢が出ます。

この光沢、じつは構造色です。

羽そのものに緑や紫の色がついているわけではありません。

羽の内側でメラニンの粒が規則正しく層になって並んでいて、当たった光が反射し合うことで、あの色に見えるんです。

カラスと同じしくみですね。

オオルリやルリビタキの青も構造色ですが、あちらとは構造のつくりが少しちがいます。

それでも「色素の色ではなく、光がつくる色」だという点では同じ仲間です。

羽の色のしくみについては、こちらの記事でくわしく書いています。

▶ 鳥の青に色素はない|オオルリ・ルリビタキ・キビタキの色のしくみ

そして繁殖期になると、頭と首に白い羽が生えてきます。

白髪あたまのような姿です。

腰の両側にも、はっきりした白い斑が出ます。これが婚姻色。

婚姻色で頭が白くなり、オオクチバスをくわえたカワウ(大阪城公園の堀)

若い鳥は、わかりやすい姿をしています。

全体に茶色っぽくて、お腹のあたりが白い。

同じ池に成鳥と幼鳥がいると、色の違いがよくわかります。

手前にお腹の白いカワウの幼鳥、奥で大きな魚を飲み込もうとする成鳥(大阪城公園)

成鳥と幼鳥の色の違いも興味深いですが、魚の大きさの方に目がくぎづけになりました。

大きすぎる魚を必死に飲み込もうとするカワウ(大阪城公園)

必死で飲み込もうとしていましたが、結局あきらめたようです。途中苦しそうだったので、ほっとしました。

⛰ 「鵜呑み」も「鵜の目鷹の目」も、この鳥から

カワウは、私たちの言葉のなかにも住んでいます。

「鵜呑みにする」――よく確かめずに、話をそのまま受け入れること。

鵜が魚を噛まずに丸ごと飲み込むところからきた、といわれています。

「鵜の目鷹の目」――熱心に、鋭く探しまわる目つきのこと。

獲物をさがす鵜と鷹の目から生まれました。

ちなみに、長良川などの鵜飼で活躍するのはカワウではなく、同じウ科のウミウです。

一方、中国では今もカワウを使った鵜飼が行われているそうです。

そもそも日本では、大正より前にはカワウとウミウはあまり区別されていなかったといいます。

昔の人が「鵜」と呼んでいた鳥は、案外どちらでもあったのかもしれませんね。

✏ イギリス、リバプールの塔

海の向こう。イングランドの港町リバプール。ザ・ビートルズの出身地ですね。

街のランドマークであるロイヤル・ライバー・ビルディング。

その塔の上にとまった彫刻の鳥は「ライバーバード」と呼ばれ、リバプールの象徴として有名です。

この鳥、いまは鵜ということになっています。

といっても実在の鵜を写したものではなく、街の紋章から生まれた架空の鳥で、もとはワシとして彫られたものだと考えられています。

サッカーのリバプールFCのエンブレムにいるのも、この鳥です。

✅ 一度は、消えかけた鳥だった

いまでこそ川でふつうに見られるカワウですが、絶滅寸前まで追い込まれた時期がありました。

高度経済成長期の水質汚濁や開発で、餌場と繁殖地を失ったのです。

1970年代には、全国で三千羽を下回ったといわれています。

その後、公害規制で水がきれいになり、魚がもどり、カワウももどってきました。

1980年代には二万羽、2000年ごろには五〜六万羽。

現在は十五万羽を超えるともいわれています。

ねぐらやコロニーの数も、1998年の109か所から2019年には566か所に増えました。

見事な回復です。

けれど今度は、増えすぎたことによる漁業被害や、コロニーの木が糞で枯れてしまう問題が起きました。

2007年には狩猟鳥に指定されています。

減っても困り、増えても困る。

人と鳥の距離のむずかしさが、詰まっている気がします。

☀ 4年で165回。一年じゅう会える鳥

観察記録を振り返ってみました。

カワウを記録した回数は、4年で165回。

しかも1月から12月まで、12か月すべてに記録がありました。

多いのは、馬見丘陵公園(奈良)、南港野鳥園、大阪城公園。

冬に少し増えて、夏の終わりに少し減る。

そんなゆるやかな波はありますが、基本的にはいつでも会える鳥です。

渡りの鳥を追いかけていると、つい見過ごしてしまう存在。

でも、いつもそこにいてくれるというのは、なかなかありがたいことなんですよね。

池の杭にとまるカワウ

川べりや池で黒い鳥が翼を広げていたら、足を止めてみてください。

できれば双眼鏡で、目のあたりを覗いてみてほしいのです。

黒い顔のなかに、エメラルドの目が光っていれば、それはカワウです。

※記事の構成や表現の整理にAIを活用していますが、観察記録と写真はすべて自分たちで撮影・記録したものです。

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