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「ブッポウソウ」という鳥をご存じでしょうか。
仏・法・僧。ありがたい名前ですよね。
でもこの鳥、そんなふうには鳴きません。
実際の声は「ゲッ、ゲッ」です。
こんにちは、イソヒヨノートのハルです。
先日、岡山県までブッポウソウを見に行ってきました。
三日目には「森の宝石ブッポウソウを地域で守るプロジェクト」の講演会と観察会に参加し、この鳥のことを教わりました。
今回はブッポウソウの雑学を、7つに分けてご紹介します。
♪ 1. 名前は、千年以上つづいた大きな勘違いだった
ブッポウソウという名は「ブッ・ポウ・ソウ(仏・法・僧)」と鳴くことに由来します。
平安時代からその声は仏教の三宝になぞらえられ、霊鳥「三宝鳥」として詩歌にも詠まれてきました。
ところが、です。
実際に「ブッ・ポウ・ソウ」と鳴いていたのは、コノハズクというフクロウの仲間でした。
それがわかったのは1935年(昭和10年)のこと。
千年以上ものあいだ、声の主と姿の主が入れ替わっていたわけです。
では、本物のブッポウソウはどう鳴くのか。
冒頭の「ゲッ、ゲッ」です。
ありがたい響きとは、正反対で。
でも、一度聞いたら忘れられない声なんです。
私も現地では、姿より先に声で気づきました。
今では本当のブッポウソウを「姿のブッポウソウ」、コノハズクを「声のブッポウソウ」と呼び分けているそうです。
★ 2. カワセミ、ヤマセミ、アカショウビンと同じ仲間
ブッポウソウは分類上、ブッポウソウ目ブッポウソウ科の鳥です。
そしてブッポウソウ目には、カワセミ科も含まれます。カワセミ、ヤマセミ、アカショウビンは近い仲間というわけです。
光沢のある美しい羽根を持つこと、樹洞や崖の穴に巣を作って丸い卵を産むこと。これがブッポウソウ目の特徴です。
✔ 3. 体重は野球ボール1個分
大きさは、頭から尾の先まで約29.5センチ。ハトよりやや小さいくらいです。
体重は約150グラム。硬式野球のボールや中玉トマトと同じくらいで、メスのほうが少し重く170グラムほど。
堂々と空を旋回する姿を見ていたので、もっと大きくて体重が重いのでは、と思っていました。
野球ボール1個分の体で、山の上空を悠々と舞っているわけです。
☀ 4. 空中で虫を捕まえる「フライングキャッチ」の名手
ブッポウソウがよく食べるのは昆虫です。

飛んでいる虫を空中で捕らえる「フライングキャッチ」が得意技。
いちばん多いのはカナブンやハナムグリなどコガネムシ科の甲虫。
ヒグラシやニイニイゼミなどのセミ類、オニヤンマなどのトンボ類、バッタ、カタツムリも食べます。

観察所で見た「木にとまる→飛び立って旋回→巣箱へ運ぶ」の繰り返しは、まさにその狩りだったんですね。
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✈ 5. ボルネオ島から、約1か月かけてやってくる
ブッポウソウは南の国からやってくる、夏鳥です。
日本には4月末から5月初めにきて、繁殖します。子育てを終え9月には日本を出発し、冬は東南アジアで越冬します。
おもに昆虫食なので、冬の日本ではエサがとれないからです。
2011年、日本で子育てしていた個体が東南アジアのボルネオ島北部で越冬していることがわかりました。
その後GPSを使った調査で、秋の渡りルートも見えてきました。
9月初旬に岡山県を旅立ち、長崎県、中国、ベトナム、タイ、カンボジア、東南アジアのボルネオ島まで、約1か月かけて移動していたのです。
ちなみに春の渡りルートは、まだわかっていないそうです。
毎年日本にやってくる鳥なのに、まだ知らないことがある。そこがおもしろいところです。
♪ 6. 子育てのカレンダーは、きっちり5か月
ブッポウソウのカレンダーは、きれいに区切られています。
・5月 飛来、巣箱探し
・6月 産卵、抱卵
・7月 子育て
・8月 巣立ち、餌捕り学習
・9月 旅立ち
オスがメスに求愛してペアを組み、卵を産みます。
卵は1日1個ずつ、1日おきに2〜5個。平均4個です。
21日間温めるとヒナがかえります。昼はオスとメスが交代で温め、夜はメスが温めるそうです。
ヒナがかえると、オスとメスで餌を運びます。
私たちが行ったのは7月18日。ちょうど子育ての真っ最中でした。


⛰ 7. なぜ巣箱は電柱にあるのか|森の宝石が減った理由
現地でいちばん不思議だったのが、巣箱を電柱に付けていたことです。
これにも理由がありました。
ブッポウソウはもともと、キツツキが使った古い巣や樹洞で子育てをしていました。
かつては木製の電柱にキツツキが穴をあけ、その穴でブッポウソウが繁殖していたのです。
ところが1980年代、電柱がコンクリート製に交換されていきます。コンクリートには穴を開けることができません。
さらに戦後の拡大造林で、大きな洞のある広葉樹も伐採されていきました。
巣を失えば、子育てはできません。ブッポウソウは急速に数を減らしました。
国内4か所が「ブッポウソウ渡来地」として天然記念物に指定されていたほどですが、今ではそこで姿を見ることはできないそうです。
そこで始まったのが、巣箱かけです。岡山県内では1990年から始めました。
巣箱は入口が直径7センチ、高さ68センチほどの縦長。
水田が広がる、見張りのきく開けた場所が好まれます。

巣箱と巣箱の間隔は約300メートル。縄張りがあるので、近すぎてはいけないのだそうです。
結果、岡山県は日本有数の生息地になりました。
国内の推定2,000羽程度のうち、中国地方5県に約1,400羽(およそ70%)。岡山県だけで550羽ほどと推定されています。
2025年には吉備中央町で約570羽が飛来し、約860羽のヒナが巣立ちました。
それでもブッポウソウは、絶滅危惧1B類(環境省レッドリスト)に分類されています。
★ 巣箱は、管理が必要です
巣箱はかけて終わりではありません。
ブッポウソウは自分で巣箱の掃除をしないので、ヒナの糞やペリット(吐き出した固まり)がそのまま残ります。
これが巣箱の中にたまると、ヒナのいる床が少しずつ高くなります。
すると巣穴とヒナの距離が近づき、ヘビなどにねらわれやすくなってしまうのです。
そうならないよう、そして翌年また使えるよう、保護団体が10月ごろに掃除をしているそうです。
電柱に登るにはNTTの許可が必要で、木登り器を使って作業するとのこと。
あの巣箱ひとつひとつに、とても人の手がかかっているのだと知りました。
ちなみに天敵は、ヘビ、カラス、イタチ。卵やヒナを食べに来ます。
そしてパンフレットには、こう書かれていました。
「そして最大の敵は人間です。巣箱に近づかないようにしましょう」
観察所から見る。巣箱から距離をとって見る。
あの見学スタイルは、絶対に守らないといけません。
✔ まとめ|ブッポウソウはこんな鳥
・名前は「仏・法・僧」だが、そう鳴くのはコノハズク。1935年に判明した
・実際の声は「ゲッ、ゲッ」。一度聞いたら忘れない
・カワセミ、ヤマセミ、アカショウビンと同じブッポウソウ目の仲間
・大きさ約29.5センチ、体重約150グラム。野球ボール1個分の重さ
・飛ぶ虫を空中で捕らえるフライングキャッチが得意
・夏鳥。冬はボルネオ島で越冬し、渡りには約1か月かかる
・5月飛来、6月産卵、7月子育て、8月巣立ち、9月旅立ち
・電柱の巣箱は、住みかを失った鳥を人が支えている証
・絶滅危惧1B類。巣箱には近づかないのが観察のマナー
千年間まちがえられ続けた名前を持ち、電柱の交換で住みかを失い、それでも人がかけた巣箱で子育てをしている鳥。
この大切な森の宝石を守る人たちがいるから、いまも岡山の夏空を飛んでいるのですね。
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※記事の構成や表現の整理にAIを活用していますが、観察記録と写真はすべて自分たちで撮影・記録したものです。
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