※本記事にはアフィリエイトリンクが含まれています。
先日、公園のベンチで休んでいたら、頭上からずっと同じフレーズを繰り返す鳴き声が聞こえてきました。
見上げてみると、そこにいたのは見慣れたホオジロでした。
顔なじみのような存在なのに、暮らしぶりについてはあまり知らないことに気づき、あらためて調べてみることにしました。
ハクセキレイやシジュウカラと並んで、私が最初の方に覚えた野鳥のひとつがホオジロです。名前の通り、オスは頬のあたりが白く、目のまわりから頬にかけて黒いラインが入っていて、白黒のマスクをつけているように見えます。河川敷や農耕地、公園など、開けた場所ならどこにでもいるのに、意外と知られていないことがたくさんあります。
こんにちは、イソヒヨノートのハルです。
今回は、そんな身近なホオジロの雑学をご紹介します。
✨ 高い場所で歌う、目立ちたがり屋
ホオジロのオスは、木のてっぺんや電線の先、杭の先端など、とにかく高い場所でさえずります。これを高唱(こうしょう)と呼びます。
低い茂みに隠れてひっそり歌う鳥も多い中、ホオジロはあえて目立つ場所を選びます。縄張りを主張することと、メスにアピールすることを、同時にこなしているのです。
姿を隠さず、堂々と歌う。
それがホオジロらしさなのかもしれません。
写真は6月に馬見丘陵公園で撮ったホオジロのオスです。一生懸命さえずっています。

観察記録を振り返ると、馬見丘陵公園では5月から7月にかけて「さえずりを確認」という記録がぐっと増えていました。新緑の季節になると、あちこちの梢からこの声が降ってくるようになるんです。
♪ 相手のいないオスは、何度も熱唱する
さえずりにまつわる、面白い話があります。
まだ相手のいないオスは、頭を後ろにのけぞらせ、喉を大きく膨らませて必死にアピールします。何度も何度も同じフレーズを繰り返し、日が暮れるまで鳴き続けることもあるそうです。
一方、すでにパートナーがいるオスは、のけぞらず、さりげなく歌うことがわかっています。
必死にさえずる姿は、なんだか健気で応援したくなります。
☀ 季節で変わる食卓
食べるものも季節によって変わります。繁殖期は昆虫やクモなど、動物性のものを中心に食べます。ヒナを育てるための、大切な栄養補給です。
一方、秋から冬にかけては、イネ科などの草の種子が主食になります。地面に降りて、ぴょんぴょんと跳ねながら種を探す姿もよく見られます。
この切り替えは、ヒナのために動物性の栄養が必要というだけでなく、秋から冬になると虫そのものの数が減ってしまうから、という面も大きいのでしょう。
写真は6月の馬見丘陵公園で撮ったものです。ホオジロのオスがバッタらしき獲物をくわえて木のてっぺんに止まっています。

⚔ 縄張り意識が強く、群れを作らない
ホオジロは基本的に単独かペアで行動し、大きな群れは作りません。冬に小さな集団を作る鳥も多い中、ホオジロは一年を通してマイペースです。縄張り意識もかなり強い鳥です。
窓ガラスや車のサイドミラーに映った自分の姿を、ライバルと勘違いして攻撃してしまう。そんな話を耳にしたことがあります。鏡に映る自分の姿に、本気で立ち向かってしまうわけです。
群れずに、自分の縄張りは自分で守る。
負けん気の強さが伝わってくるエピソードです。
馬見丘陵公園だけで2022年から現在まで90回以上ホオジロを記録しています。毎年同じような場所で出会うので、いつも同じエリアにいるのかもしれません。
❀ 巣づくりは、メスひとりの仕事
ホオジロの巣は、草むらや低木の中に作られるお椀型の巣です。地面に近い、目立たない場所を選びます。
面白いのは、巣づくりをするのはメスだけということ。オスは手伝わず、メスの後をついて回りながら、目立つ場所で歌い続けます。これは求愛のためというより、巣を狙う外敵やライバルを近づけないための「見張り」の意味合いが強いといわれています。
卵は3〜6個ほど。抱卵もメスの役目で、11〜12日ほどでヒナがかえります。カラスやヘビなど天敵は多く、無事に巣立てるとは限りません。
歌う係と巣を作る係が、はっきり分かれているのも、ホオジロらしい役割分担です。
✒ 俳句にも詠まれてきた、春の声
ホオジロのさえずりは、古くから「一筆啓上仕り候(いっぴつけいじょうつかまつりそうろう)」と聞きなされてきました。やんごとなき人の手紙の書き出しのような、少しユーモラスな響きです。地域によっては、「あっと驚く為五郎」「源平つつじ、白つつじ」「札幌ラーメン、味噌ラーメン」など、まったく違う言葉に置き換えられて親しまれてきたようです。
私はホオジロの鳴き声、出だしに小さい「っ」の音が入るように聞こえると覚えています。「イッピツチョロチョロピー」というふうに、最初にぐっとアクセントを置いてから一気に歌い上げる感じです。
その美しい声は古来より愛でられ、ホオジロは俳句の世界では晩春の季語としても使われてきました。
春の野を歩きながら、この声に耳を澄ませていた人が、昔にもいたのだと思うと、なんだか不思議な気持ちになります。
♀ オスとメスの見分け方
ホオジロのオスとメスは、最初は見分けるのがむずかしかったです。
でも、よく見ると顔の模様に違いがあります。オスは目のまわりから頬にかけての黒いラインがくっきりしていて、白と黒のコントラストがはっきりしています。一方、メスは同じ部分が黒ではなく、こげ茶色っぽい、やわらかい色合いになっています。
写真は10月に馬見丘陵公園で撮ったホオジロのオスです。

写真は12月に馬見丘陵公園で撮ったホオジロのメスです。

並べて見比べてみると、その差は一目瞭然です。きりっとしたオスにくらべて、メスの方がやわらかな色合いで、優しい印象の顔つきをしているんです。
写真は冬に馬見丘陵公園で撮った1枚で、寒さで羽を大きく膨らませたメスです。丸くなった姿は、普段よりずっと愛らしく見えます。

今度観察するときは、顔のコントラストにも注目してみてください。オスかメスか、きっとわかるようになるはずです。
♥ 双子のような「ホオアカ」との違い
ホオジロによく似た仲間に、ホオアカという鳥がいます。
名前の通り、ホオジロは頬が白、ホオアカは頬が赤褐色。見た目の違いはそこにあります。
でも、もっと大きな違いは性格です。
ホオジロは高い場所で堂々と歌う、さえずりが見える鳥。
一方のホオアカは、草原の茂みの中でひっそり歌う、さえずりが見えない鳥といわれています。
この辺りでは、ホオアカは夏場、主に高原など涼しい草原で繁殖し、冬になると低地に降りてきます。
夏に曽爾高原へ行ったとき「ホオジロだ」と思って撮った写真を、家に帰って拡大してみたら頬が赤くてホオアカだった、ということがありました。
その後、2026年3月には平城宮跡でもホオアカに出会うことができました。高原だけでなく、開けた草地であれば冬から早春にかけて出会えることがあるようです。
生息数もホオジロほど多くはなく、開発によって草原や河原の環境が減っていることもあり、出会える機会は少なめです。同じホオジロの仲間なのに、片や目立ちたがり屋、片や恥ずかしがり屋。
ちなみに、ホオジロは昔からカッコウに托卵されやすい鳥として知られてきました。ただ、今のホオジロは卵を見分ける力に優れていて、托卵されてもカッコウの卵にすぐ気づき、巣の外に放り出してしまうこともあるそうです。長い年月をかけて、托卵を見破る力を身につけてきたんですね。
ちなみに、托卵といえばホトトギスも有名です。ホトトギスはウグイスに托卵しますが、その托卵事情はこちらの記事で詳しく紹介しています。
おなじみのホオジロが、実はこんなに個性豊かだったなんて。高唱、オスメスの見分け方、鏡への攻撃、メスだけの巣作り、そして俳句にまで詠まれてきた歴史。知れば知るほど、身近な鳥にも奥行きがあることに気づかされます。
今度どこかで「一筆啓上」という声が聞こえたら、ぜひ木の枝の先を探してみてください。堂々と胸を張って歌うホオジロの姿が見つかるかもしれません。そして、もし草むらの中から控えめな声が聞こえてきたら、それはホオアカかもしれませんよ。
写真は2026年3月平城宮跡で撮ったホオアカです。草むらの中から上がってきたときに撮りました。

※記事の構成や表現の整理にAIを活用していますが、観察記録と写真はすべて自分たちで撮影・記録したものです。
バードウォッチングの道具が気になった方は、こちらもどうぞ。
▶ 双眼鏡おすすめ2選──バードウォッチング4年が選ぶ入門機とステップアップ機

