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初夏の鳥、ホトトギスのミステリアスなお話
「特許許可局」という言葉を聞いたことはありませんか。
これは、鳥の鳴き声の聞きなしです。声の主は「ホトトギス」。初夏の夜明けどき、林の奥からけたたましく響いてくる、あの声です。
こんにちは、イソヒヨノートのハルです。
今回は、声は誰もが知っているのに、あまり姿を見せない不思議な鳥、ホトトギスをご紹介します。
✨ 「特許許可局」──あの声の正体
ホトトギスは5月ごろ、インドや東南アジアなど南の国からやってくる夏鳥です。
姿はヒヨドリよりやや大きく、ハトより少し小さめ、全長は28センチほど。頭と背中は灰色で、腹は白地に黒い横縞が入っています。目のまわりには黄色いアイリングがあって、見ると意外とかわいらしい顔をしています。
その鳴き声の聞きなしは、「特許許可局」のほかにも「テッペンカケタカ」「本尊掛けたか」など地域や時代によってさまざまです。「キョッキョッ、キョキョキョキョ!」という声を聞いて、どの言葉に聞こえるか、試してみてください。
不思議なのは、英語では「lesser cuckoo(ホトトギス)」と呼ぶだけで、声の聞きなしが存在しないこと。日本では千年以上前から和歌や俳句に詠まれ続けてきた鳥なのに、英語圏ではそれほど注目されてこなかったんですね。それだけ日本人の耳に深く刻まれてきた声なのだと思います。
他の夏鳥よりも渡来時期が遅く、5月を過ぎてから声が聞かれるようになるのは、托卵するウグイスの繁殖が始まるのを待っているためだとか、エサの毛虫のいる時期だからなどと言われています。生態と渡来のタイミングがきちんとかみ合っているわけですね。
��� 信長・秀吉・家康、そして松下幸之助さんも詠んだ鳥
ホトトギスを最初に知ったのは、小学生のときでした。
「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス」(織田信長)
「鳴かぬなら 鳴かせてみよう ホトトギス」(豊臣秀吉)
「鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス」(徳川家康)
戦国の三英傑の性格を詠み比べたあの有名な句です。家康のように気を長く持ちなさいと両親から言われ、子どものころはただ面白いなと思っていました。
ちなみに、松下電器の創業者・松下幸之助さんは「あなたはどれにあたりますか」と聞かれたとき、「鳴かぬなら それもまたよし ホトトギス」と答えたそうです。四者四様の人生観が面白いですね。
ところで最近、NHKのドラマ「豊臣兄弟!」が話題ですね。秀吉とその弟・秀長の物語です。
秀長は、大和郡山城(奈良県大和郡山市)を拠点に豊臣政権を支えた人物。奈良に住む私にとっては、ぐっと身近に感じる歴史上の人です。大和郡山の城跡を訪ねると、「ここが秀長の地盤だったのか」と思えて、街の見え方が少し変わります。
ドラマを見ながら、まさに「鳴かせてみよう」を体現した秀吉の姿を眺めていると、あのホトトギスの句がふと頭に浮かんできます。歴史と野鳥が、こんなところでつながるとは思いませんでした。
もう一つ印象に残っているのは、高校時代国語で習った正岡子規のこと。結核で血を吐く自分の姿をホトトギスに重ねてペンネームにした、という話を知ったときは、子規の思いが胸に刺さりました。「子規」はホトトギスの別名のひとつなのです。ホトトギスは口の中が赤く、「血を吐くまで鳴く」と言われてきたことから、自分と重ねたのだろうと思います。
ホトトギスには「子規」のほかにも「不如帰」「時鳥」「杜鵑」など、驚くほど多くの別名があります。それだけ古くから日本人に親しまれてきた鳥だということですね。
��� 花のホトトギスと鳥のホトトギス、どっちが先?
山野草が好きな方なら、花のホトトギスをご存じかもしれません。ユリ科の植物で、花びらに小さな斑点が散らばっています。
この斑点模様が、鳥のホトトギスの胸の横縞に似ているとして、同じ名前がつけられました。「鳥が先、花が後」に命名されたというのは、意外と知られていないことではないでしょうか。
余談ですが、花のホトトギスの模様を見ても結核の正岡子規を思い出してしまいます。それほど私にとって印象的なお話だったのかもしれません。
植物と野鳥が同じ名前でつながっている。そんなことを知ると、花屋さんでホトトギスを見つけたとき、「あ、鳥のホトトギスの胸模様ね」と思い出せるようになります。
��� なぜ、姿を見た人が少ないのか──托卵という戦略
声はあちこちで聞こえるのに、ホトトギスを実際に見たという人は驚くほど少ないです。理由はいくつかあります。
まず、好んで暗い林の高いところにとまること。双眼鏡を向けても、木の上の方の葉の陰に隠れてなかなか見えません。
次に、飛んでいる姿が猛禽類に似ていること。慣れていないと、見ても「タカかな?」と思ってしまうのです。
そして、夜明け前から鳴くこと。声が一番よく響く時間帯は、まだ暗くて姿が見えません。
ホトトギスの生態でもう一つ驚くのが、托卵という習性です。自分では巣を作らず、ウグイスの巣に卵を産みつけ、育ててもらうのです。
しかも、生まれたホトトギスのヒナは、巣の中にあるウグイスの卵をすべて巣の外へ蹴り落としてしまいます。体長28センチのホトトギスが、体長15センチしかいないウグイスに育てられる。なんとも不思議で、少し残酷な話です。
驚くのは、その産卵のスピードです。ホトトギスが卵を産む時間は、わずか10秒以内とも言われています。ウグイスが巣を離れた隙に、猛スピードで産みつけてしまうのです。なんというお話でしょう。
しかも孵化するのも早い。ウグイスの卵より2〜3日先に生まれたヒナは、まだ目も開いていないうちから本能で動きはじめます。巣の中に残った卵をひとつずつ背中に乗せ、巣のふちまで運んで、外へ落としてしまうのです。
では、なぜウグイスは気づかないのでしょうか。産卵があまりに素早くて見ている間もないこと、そして孵化したヒナが大きな口を開けてエサをねだると、ウグイスの親の本能が反応してしまうことが理由として挙げられています。自分の体よりずっと大きなヒナに、一生懸命エサを運び続けるウグイスの姿は、なんだか切ない光景です。
でも考えてみると、ホトトギスはそのために渡来時期を遅らせ、ウグイスの生息地を選び、巧みに生き延びてきたわけです。知れば知るほど、すごい鳥だと思います。
��� 6月の馬見丘陵公園で、ついに出会えた日
バードウォッチングを始めてから、ホトトギスの声は何度も聞きました。
でも、姿は長い間見つけられませんでした。声をたよりに双眼鏡を向けても、梢の葉が邪魔をして、どこにいるのかさっぱりわからない。
それが6月のある朝、馬見丘陵公園でついに見ることができたんです。
「キョッキョッ、キョキョキョキョ!」という声がして、素早く飛んでいく影を追ったら、木の枝にとまったのが見えました。双眼鏡を覗くと、腹の横縞と黄色いアイリング。まぎれもなく、ホトトギスです。木の上で反対に向いてしまいましたが、チラッと後ろに振りかえってくれました。

声だけの鳥だったホトトギスに、ようやく顔と姿がつながった瞬間でした。
夜明けごろの林で耳を澄ませてみてください。「テッペンカケタカ」と聞こえたら、それがホトトギスです。
※記事の構成や表現の整理にAIを活用していますが、観察記録と写真はすべて自分たちで撮影・記録したものです。
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