ジョウビタキのオスとメスの見分け方|名前の由来と紋付鳥のひみつ

枯れ枝にとまるジョウビタキのオス(馬見丘陵公園) 雑学・野鳥図鑑

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十月の終わり。公園を歩いていると、低い枝先にオレンジ色がちらりと見えました。

双眼鏡をのぞくと、あざやかな橙色のおなか。黒っぽい翼には、小さな白い紋。

こんにちは、イソヒヨノートのハルです。

今回は、冬に出会う小鳥、ジョウビタキのお話です。

冒頭の写真は、2024年12月に馬見丘陵公園で撮った、ジョウビタキのオスです。

伝統文化の能のお面からついた名前の由来や、俳句の季語になったこと。調べてみると、この鳥は不思議なほど日本の文化とつながっていました。

オスとメスの見分け方も、ご紹介します。

✨ 「尉(ジョウ)」は、能面のおじいさんだった

ジョウビタキは漢字で「尉鶲」と書きます。

この「ジョウ(尉)」は白髪のこと。オスの頭が銀白色(白っぽい灰色)に見えることから、白髪のおじいさんになぞらえた名前です。

写真は、2025年1月に水上池で撮った、ジョウビタキのオスです。たしかに白髪頭に見えます。

常緑樹の枝にとまる銀白色の頭のジョウビタキのオス(水上池)

では、なぜ白髪を「尉」というのでしょう。

日本の伝統文化、能の世界で、おじいさんの面を「尉」と呼び始めたのが最初だといわれています。白い髪と長いあごひげをたくわえた、お面です。

そこから「尉」は、老いた白いものを指す言葉になりました。

たとえば茶道では、お点前(おてまえ)のあと、炉の中で炭が燃えて白い灰になった部分を「尉」と呼びます。

「ビタキ」のほうは「火焚き」。尾を振りながら出す「カッ、カッ」という音が、火打ち石を打ち合わせる音に似ているからだといわれています。

ジョウビタキは、火を打つ、白髪の鳥という意味なんです。

✏ 紋付を着て、ぴょこんとお辞儀をする

ジョウビタキには、もうひとつ有名な呼び名があります。

「紋付鳥(モンツキドリ)」。

黒い翼にある白い模様を、着物の家紋に見立てた名前です。

この白い紋はオスにもメスにもあり、黒っぽい翼にぽつんと浮かぶので遠目でもよく目立ちます。

写真は、2023年2月に馬見丘陵公園で撮った、ジョウビタキのオスとメスです。

上の写真は、ジョウビタキのオスです。

白梅の枝にとまるジョウビタキのオス(馬見丘陵公園)
芝地に降りて翼の白い斑を見せるジョウビタキのメス(馬見丘陵公園)

下の写真は、ジョウビタキのメスです。翼に白い紋があるので、ジョウビタキとわかります。白い紋が、えくぼのようなチャームポイントになっています。

そして紋付鳥には、瀬戸内地方に伝わる民話があります。

昔、スズメとモンツキドリ(ジョウビタキ)は姉妹でした。

母親が重い病にかかったとき、スズメはお歯黒を塗る手を止めて駆けつけ、母を見送ることができました。スズメの口もとが黒いのは、そのとき途中でやめたお歯黒のあとだといわれています。

青空を背に枯れ枝にとまるスズメ。口もとの黒い模様が見える

いっぽうモンツキドリは、化粧をして紋付を着て、身支度に時間をかけているうちに間に合わなかったのです。

怒った父親は「もう二度と食べ物はやらない」と言い渡しました。

だから今でもモンツキドリは、ぴょこんと頭を下げてあやまっている——。

尾を振りながら小さくおじぎをする、あの仕草。昔の人はそこに、母の最期に立ち会えなかった娘の姿を見たわけです。

♪ 俳句の季語「鶲」は、晩秋の言葉

「鶲(ヒタキ)」は、歳時記では晩秋の季語です。

でも、ヒタキと名のつく鳥はたくさんいます。キビタキ、コサメビタキ、エゾビタキ、ルリビタキ。なぜジョウビタキなのでしょう。

理由は、言葉の歴史にありました。

もともと「ヒタキ」は、ジョウビタキだけを指す名前だったのです。清少納言の『枕草子』に出てくるのが最初とされています。それがのちに、ヒタキ科の鳥全体をまとめて指す、広い言葉になっていきました。

季語の「鶲」は、古いほうの意味を受け継いでいます。歳時記には別名もいくつか載っているのですが、どれもジョウビタキを指す呼び名ばかり。さきほどの「紋付鳥」も、そのひとつです。

晩秋は、暦のうえでは十月半ばから十一月のはじめごろ。ジョウビタキが海を渡ってくる時期と、ちょうど重なります。

ちなみにルリビタキも冬に見られる鳥ですが、夏を高い山で過ごし、平地に下りてくるのは十一月半ば以降といわれています。同じ冬の鳥でも、ジョウビタキのほうが少し早く姿を見せてくれる気がします。

☘ ジョウビタキという鳥のプロフィール

文化の話が続いたので、鳥そのものの話も少し。

全長は14センチ。大きさはスズメと同じくらいです。

繁殖地はチベットから中国東北部、バイカル湖のあたりなど、寒冷な地域です。秋に日本へきて、冬を過ごします。

記録では、秋に初めて見たのは10月末ごろ。11月~3月によく見て、徐々に見なくなり、いちばん遅い記録は4月中旬でした。4月を過ぎると、北の繁殖地へもどっていくようです。

出会えたのはのべ80回。奈良の馬見丘陵公園が大半です。目線と同じくらいの低い場所にとまっています。晩秋から春にかけて、会いやすい鳥です。

そしてこの鳥、とにかく縄張り意識が強いのです。

冬のあいだ、オスもメスもそれぞれ単独で縄張りを構えます。

そして同じ種類はもちろん、ほかの鳥も追い出しにかかります。

まだ見たことはないのですが、カーブミラーや窓ガラスに映った自分の姿にまで、繰り返し攻撃をしかけることもあるそうです。

それでいて人にはわりと平気で、近くにくることもあります。そばで写真が撮れることもあるのです。

写真は、2026年2月に馬見丘陵公園で撮った、ジョウビタキのオスです。近くまできてくれました。

看板の上にとまり近くまで来てくれたジョウビタキのオス(馬見丘陵公園)

この鳥のほかにも──
関西で出会える野鳥を、色や大きさから探せる索引ページを作りました。
▶ 野鳥図鑑インデックス|関西で出会える野鳥を色から探す

⭐ オスとメスの見分け方──ここを見れば大丈夫

次に、オスとメスの識別の方法です。

ジョウビタキの雌雄の見分け方は簡単です。

まずオス。写真は、2026年4月に南港野鳥園で撮った、ジョウビタキのオスです。

芽吹きの枝にとまるジョウビタキのオス(南港野鳥園)

頭のてっぺんが銀白色。白っぽい灰色です。顔から喉にかけては黒。胸から腹はあざやかな赤茶色(オレンジ)。

翼は黒褐色で、そこに白い紋。

銀白色・黒・オレンジ・白の四色がくっきり分かれた、とても派手な配色です。一度見れば忘れません。

つぎにメス。写真は、2024年1月に馬見丘陵公園で撮った、ジョウビタキのメスです。

冬枯れの枝にとまるジョウビタキのメス。尾がオレンジ色(馬見丘陵公園)

全体が灰色味をおびた淡い褐色。目のまわりには白いアイリング(目のふちの白い輪)。オスに比べて地味な色合いをしていて、上品でやわらかな印象です。

オスとあまりに姿が違うので、最初は「別の鳥かな」と思っていました。

でも、ぱっと見の色合いはちがっても、ジョウビタキの目印があるんです。それは、翼の白い紋。オスより控えめですが、ちゃんとあります。

メスには、迷いやすい相手がいます。ルリビタキのメスです。

枯れた藪にとまるルリビタキのメス。脇が黄色く尾が青い

こちらも地味な褐色で、白いアイリングもあり、表情も似ています。冬に同じような場所で見かけます。

決め手は、腰から尾にかけての色。ジョウビタキはオレンジ、ルリビタキは青みがかった水色です。

それと、脇のあたり。ルリビタキのメスは脇が黄色っぽく、正面から見てもよくわかります。

そして、翼の白い紋がルリビタキにはありません。暗い林の中で尾の色が見えないときは、これが頼りになります。

ジョウビタキのオス、メスの見分け方は、まとめると、こうです。

頭が銀白色で、顔が黒ければジョウビタキのオス。

全体が淡い褐色で、白いアイリングがあればジョウビタキのメス。

冬の公園で、目の高さくらいの枝先にオレンジ色がちらりと見えたら、少し足を止めてみてください。

白髪の頭に紋付を着た、小さな鳥。ジョウビタキかもしれません。

ところで、オレンジ色のおなかを持つ小鳥は、ジョウビタキだけではありません。

同じ全長14センチほどで、おなかがオレンジ色の鳥がもう一種います。ヤマガラです。

エゴノキの実がなる枝にとまるヤマガラ。頭は黒と白のツートン

じつは私、この二種を見分けるのが長いあいだ苦手でした。

「オレンジ色のおなかの小鳥」とひとくくりに覚えていて、どちらだったかあいまいなまま何年も過ごしていたのです。

今回こうして調べて書いてみて、ようやく頭の中が整理できました。

見分けるポイントは、おなかではなく頭です。

ジョウビタキのオスは白髪頭、メスは淡い褐色の頭。

ヤマガラの頭は、黒と白のツートンカラーです。しかもヤマガラは一年じゅう公園にいる留鳥なので、夏に、オレンジのおなかの鳥を見かけたら、ヤマガラです。

ヤマガラのくらしについては、こちらの記事でご紹介しています。

▶ ヤマガラとエゴノキ|毒の実を両足ではさんで、種子をとりだす小鳥

※記事の構成や表現の整理にAIを活用していますが、観察記録と写真はすべて自分たちで撮影・記録したものです。

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